【NHKあさイチまとめ】うつ病治療最前線ーそれ、本当に「うつ病」ですか?(5月8日)

2019年5月8日(水)あさイチではそれ、本当に「うつ病」ですか?というタイトルで、うつ病に似た症状の病気について紹介します。
うつ病がなかなか治らない方の中には、うつ病の他の病気が原因で症状が出ている方がいらっしゃるようです。
うつ病以外にうつ症状を起こす病気の原因や、どうしても原因がわからない方のために、入院検査して診断する方法などを紹介します。
うつが治らないのは、他の病気が原因
集中力が続かない、疲れやすい、気分が落ち込む・・・といった症状のあるうつ病。
15人に1人は、うつ病であり、そのうち3割の人がうつの症状が治らないと言います。
というのも、うつ状態はうつ病が原因とは限らないからです。
うつ状態になる疾患は、ほかにもたくさんあることがわかってきました。
うつかどうか判断するには
杏林大学医学部 渡邊衡一郎先生が解説してくださいました。
うつ状態と、うつ病が違うということをまず確認しましょう。
うつ状態とは
- 気分が落ち込む
- 興味喜びがなくなった
- 集中できない
- 気持ちが焦る
- 自分を責める
- 疲れている
- 不眠・眠すぎる
- 死について考える
- 食欲がない・増加
などの状態で、代表的な「気分が落ち込む」「興味喜びがなくなった」どちらかを含む5つ以上、二週間続いた場合、うつ病と言われます。
原因は、うつ病そのものだけでなく、様々な病気が原因となります。
がん、脳梗塞、甲状腺機能障害、パーキンソン病、睡眠時無呼吸症候群、認知症などの病気や、薬の副作用、
うつ病、PTSD、双極性障害、ADHD、ASD(自閉症スペクトラム症)、パーソナリテイ障害などの精神疾患などが原因になりえます。
ですからうつ状態が続く場合は、病院にかかって、何かこういった原因になる病気がないか、診断してもらう必要があります。
うつであるかどうか判断するため、入院検査プログラムで独自に判断している病院もあります。
睡眠時無呼吸症候群に注意
特に睡眠時無呼吸症候群は、うつ病のうち4割もの方が併発すると言われています。
うつ症状がのある人は、睡眠時無呼吸症候群になっていないかチェックしてみてください。
- いびきがひどい
- 呼吸が頻繁に止まる
- 朝だけ頭痛やだるさなどがある
- 朝起きた時の血圧が高い
- 昼間の激しい眠気があるなど。
番組に登場した男性は、うつ病がなかなか治らず悩んでいました。
検査をしたところ、うつ病の他に睡眠時無呼吸症候群を併発しており、睡眠中に酸素濃度が低下していることが判明。
そのことが、うつ病を悪化させていることがわかりました。
睡眠の質を高める治療をした結果、うつ病の症状も改善されてきたそうです。
うつ病に似た双極性障害
3つの精神科医からうつ病と判断され、抗うつ剤を飲んでいましたが、逆に悪化した女性のケースでは、大学病院で検査したところ、双極性障害であることがわかりました。
うつ病だと診断され、治らないケースの2−3割が双極性障害だと言われています。
双極性障害とは、いわゆる「躁うつ病」です。
先ほど出てきたうつ症状と、躁状態が代わる代わる出てきます。(おおよそ4日間以上、躁の状態になる)
躁状態は、アイデアが次々わいてくる、気前が良くなる、ねむならくても平気、自信に満ち溢れる、といった状態。
この躁状態にあることが、軽い場合は判断しづらいので、見分けがつきにくいそうです。
自分はうつ病なのか?
では自分は本当にうつ病なのかと疑問に思う場合。
その場合は、主治医の他に、他の病院を尋ねて「セカンドオピニオン」を聞くのも有効です。
ただし鬱の治療は、最低でも半年から1年ほどはかかる、長期的なものですから、焦らずに1年くらい経過を見てからの方がいいでしょう。
また、「ライフチャート」と呼ばれる図を描くのもいいそうです。
何歳になった時にどんなことがあったか、その時の気分が良かったか悪かったかというものをグラフにするもの。
それから睡眠チャートといって、どのくらい睡眠をとって、その日の行動や気分もあわせて記録したものもいいそうです。
うつの入院検査
杏林大学病院では、うつかどうかを入院してしっかり診断するプログラムを行っています。
この入院検査プログラムは5泊6日かけて、10種類以上の検査を行なっていきます。値段は7-8万円。
血液検査、CT検査、作業療法士による行動の評価、心理検査(描画検査など)、知能テストなどが含まれます。
検査の結果は30人以上のスタッフで「カンファレンス」を開き、共有・議論されます。
番組に出てきた女性の場合、うつ病の精神血管はないと多くのスタッフが判断。
一週間後、ADHDの傾向が見られ、それによって社会生活がうまくいかず、うつ状態が生まれているのではないかと判断されました。